十六夜会



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8件の内、新着の記事から10件ずつ表示します。


[9] 青い翼4

投稿者: 鈴蘭 投稿日:2015年 8月14日(金)01時04分23秒 i153-145-27-177.s41.a008.ap.plala.or.jp  通報   返信・引用

ドアを開けようと近寄っていくと、
聴き慣れた声と、聴いたことのない声が。

「だいったい!こーんなに年月が経ったのはアンタが早く来ないからでしょう!」

「悪かったって・・・行きたい場所が多くてさ・・・」

「自分のことは後回しにしなさいよ!何年私のかんわいいお嬢様が窮屈な思いを・・・」

「?クレア?」

「お嬢様っ!!」


ドアを開けると、いつもどおりの可愛らしい、ツアのある綺麗な黒髪を風に靡かせるメイドのクレア。
そして、その右隣には・・・?

おそらく、会ったことのない方なのでしょう。
私の記憶にはない、優しい色合いの金髪。そしてその色に反発するように立った髪。
クレアよりも頭が一つ以上高い、少し細身の男性が頭を掻きながら照れくさそうに立っていました。

「初めましてッ。えーっと、なんだ・・・オレ、フラーウムです」

「は、はあ・・・く、クレアと申します・・・初めまして・・?」

ぎこちない挨拶が人間らしくて、とても新鮮に感じました。

「クレア、こちらの方は?」

「あー、えー、うーん。ゴミです」

ゴ、ゴミ・・・

今まで一緒に暮らしていたクレアから、聞いたこともない言葉が飛び出しました。
それ以前に、いつもの他人行儀な、冷たい言葉遣いではないように感じます。

「さて、唐突ですが、お嬢様」

と、二人のそれまでの柔らかな表情が、ふと何かを決意したのかと鋭くなります。

「は、はい」

「そろそろお時間のようです。私たちとお出かけいたしましょう。自由な世界へ」

「ほぇえ?」

自分でも驚くような情けない声を出してしまいました。
クレアの言うお出かけは、いつもの庭のお散歩ではないように感じます。

「どこへ・・・?」

「えーと、その・・・」

「あー。ほら行くぞ!嬢さんとレズ女!」

「だっ!?誰がレズだっt」

「レズ・・・?」

「・・・お嬢様は知らなくていい言葉ですよ!」




[8] 青い翼3

投稿者: くやたけ 投稿日:2015年 7月29日(水)03時21分10秒 g226.124-45-162.ppp.wakwak.ne.jp  通報   返信・引用

飛んで行きたい!

私の気持ちはすでに羽ばたいておりました。
しかし、その自由という言葉自体を理解することができない私には、この家を出ることすら難しいことなのです。
そしてステンドグラスに囲まれながら立ち尽くすしかないのです。
そういつものように・・・

この屋敷の庭から外の世界へ出たことは一度もありません。
息子は元気に学校へ行くのですが、私はいつも玄関まで。
クレアがついてきてくれる時だけ、庭を散歩することができます。

しかし庭にいる恐ろしい化け物たちを見るだけで、私の身体は硬直し動けなくなるのです。

黒くて角の生えている、小さくて蠢く生き物
黒い羽をばたつかせて、もがくように宙を舞う生き物
沢山の毛でおおわれ、するどい爪を隠し持って、忍び足で近寄ってくる生き物

そういった生き物と出会うたび、クレアに支えられながら家に戻ってくるのです。

これが私の日常
篭の中でしか生きられない、私の日常なのです。

そう今日までは・・・
まさかこのような事が私の身にふりかかることなど誰が予想できたでしょう。

クレアが見当たらない事に少し不安を感じていた時でした。
その運命のチャイムが鳴ったのは。

「リーンゴーン」
荘厳な音が鳴り響き、玄関の方から何やら声が聞こえてきます。



[7] 青い翼2

投稿者: 鈴蘭 投稿日:2015年 7月28日(火)01時48分29秒 i153-145-27-177.s41.a008.ap.plala.or.jp  通報   返信・引用

廊下には、私の気持ちが晴れやかになる場所があります。

広く伸びた廊下を囲むように彩られたステンドグラス。
ラクウェル家は古くから東洋は勿論、西洋との貿易にも手を伸ばしているため、ガラス細工に関心があり、アレックスも例外ではないのです。

人生の時を止めたのかと錯覚してしまう、刹那の美しく澄んだ姿で創られる無機質な姿。
生きているもののように終わることのない鮮やかさは、今のラクウェル家と昔のラクウェル家、時代は違えど、どちらも惹かれる事には違いないでしょう。

・・・私は、その吐息を感じることのない【物】があまり惹かれないけれど。

けれど、このステンドグラスは違います。
何か、昔から私のことを知っているような、懐かしさを感じるのです。

ステンドグラスに描かれているのは、一羽の青い翼を持った鳥。
このステンドグラスから、いつもあの情景の中で青い鳥が思い出されるのかしら?

「この羽の色、まるで、涙の色をしているみたい。」

という声が聞こえたあと、私の体は電流が走るかのように一度、小さく震えました。
私の周りには誰もいません。
いつも一緒のクレアは今日は買い出しに出かけているはずです。

そう、その言葉を発したのは他でもない私。

「え・・・」

たしかに。
おかしな話ですが、自分に言われて気づきました。

青い鳥の羽の色は涙の色。
私が飼っていたというインコのナギサ。

閉鎖された、自由のない空間で、悲しみに染まって・・・

わた・・・わ・・・たし・・・私は・・・・


不自由?
今のこの家庭が、夫や息子との暮らしが、嫌??な??の???


嗚呼・・・

私は、自由になりたかったんだ。

飼われた狭い狭い中で飼い主の好みのまま育てられるインコではなくて。
外の世界で、ガラスよりもずっと澄んだ美しい空を悠々と飛んでいく鳩のように。




[6] 第2章 青い翼

投稿者: くやたけ 投稿日:2015年 7月17日(金)02時50分1秒 g226.124-45-162.ppp.wakwak.ne.jp  通報   返信・引用

「母さん!母さん!」

朝から、太く鈍い大きな音が響き渡る。
どうやら私の息子が起きてきたようだ。

「おはよう。シューちゃん。」
「なんで起こしてくれなかったんだよ!今日は一時間目に香山先生の授業があるっていうのに!」
「あら~?そうだったの?」

何でこの子はこんなに自分勝手なんだろう?
私の育て方が間違っていたのか?

しかしそんな考えはおくびにも出さず、穏やかな笑顔で食卓に朝食を並べていく。
息子はチーズとレタス、それから厚めのハムを挟んだサンドイッチを無理矢理口に押し込みつつ、あわてて出て行った。

私の名は麻里亜(マリア)・ラクウェル。
ラクウェル家に嫁いで18年が過ぎました。

旧姓は宇佐美だったのですが、ラクウェル家と宇佐美家は横浜の名家として古くから親交が厚く、ラクウェル家の長男であるアレックス・ラクウェルから求婚され妻となりました。

結婚から3年で長男が生まれ、すでに中学生になっています。
誰から見ても平凡で、幸せな家庭だと思うのですが、私にはどうしても思い出せないことがあります。

それは私が本当は誰なのか?ということなのです。
こういうとおかしく思われるかもしれませんが、私の幼少期の記憶をたどっても、中学生になる前の記憶が、真っ白に塗り込められた「すりガラス」のように曇っているだけで、何も思い出せないのです。
ただ思い出せるのは、真っ白い空間と青い羽根をした鳥だけ。

そして、ラクウェル家のメイドであるクレアに聞くと、

「それはお嬢様が大切に飼われていたナギサという名前のインコですよ。」
と、いつものはにかんだ笑顔で答えてくれる。
しかし私には、どうしても現実感が無いのです。

主人のアレックスにこの話をしても、微笑んでいるだけで何も答えてくれません。
いったい私はどうしたのでしょうか?
急に不安を感じながらも、日常の世界へと意識を向け、廊下を奥に歩いて行きました。



[5] はじまりの朝 (その3)

投稿者: 鈴蘭 投稿日:2015年 7月 5日(日)03時45分14秒 i153-145-25-3.s41.a008.ap.plala.or.jp  通報   返信・引用

クレアが手をかざした瞬間・・・

その真っ白だった世界に、手のかざした場所から『色』が現れたのです。
白、黒、青、赤、緑、黄色、紫、橙、桃色・・・

色たちは白い世界を埋め尽くすように広がっていって・・・


全く知らない景色が
見たことのない景色が
大きな、大きな景色が

私を優しく見つめていたのです。

そして、チチッ、チッ、チチチッと先ほどから聞こえてきた音の主も現れます。

「こんにちは!」
おそらく、この子はそう私に語りかけてきているのでしょう。
可愛らしい青色の体毛が肌をふわっとくすぐるように撫でる。

「クレア、この子は・・・?」
「インコ、という鳥で、名前はナギサ、といいます。」
「インコ?鳥?ナギサ・・・?」
「海のような青い羽の色からナギサ、と名付けられたのですよ」
「海って・・・?」
「『世界』の7割・・・半分以上を覆う、広大な水ですね」
「はんぶん、いじょう・・・」

私が今見ているここでさえ今までではありえない広さだというのに、これ以上って・・・?

驚いている私に、
手のひらの上に降りてきたナギサが心配するように首をかしげる。

ナギサ・・・

そうだ・・・
私の名前って、なんなのでしょう?

お嬢様?でもそれは呼ばれ方、であって、
私の『名前』ではないはず。

なんだか、名前が欲しくなってきてしまいました。

名前って、どうやったら手に入るのでしょう?


見上げると、ナギサの羽のような色が広がっていました。



[4] 第1章 はじまりの朝 (その2)

投稿者: くやたけ 投稿日:2015年 7月 1日(水)11時17分41秒 g154.115-65-46.ppp.wakwak.ne.jp  通報   返信・引用

「お嬢様。今日は特別な日になりますので、特別な部屋へご案内いたします。」
「え?そうなんですか?」

『外』から私を守ってくれる為に、部屋の中からは開けることが出来ない分厚いドアを、軽々と開けながら振り返ったクレアの顔が、一瞬いつもより少し沈んだように見えました。

「ご案内する部屋には、奇妙な生き物がいるかもしれません。」
「なんだか怖いけど、クレアがいてくれたら怖くないわ。」
「とても奇妙ですが、危険ではありませんのでご安心くださいませ。」

そう言って、いつもの[はにかんだ笑顔]に戻ったクレアは、私の手を取って廊下を歩きはじめました。

「本当に私怖くないからね!」

本当は少し怖いけど、期待で胸がいっぱいになっています。


白い・・・とても白い・・・・

この廊下は好きじゃない。
だって何も無いんだもの。

手すりも、照明も無い、ずっとずっと白い天井と白い壁と白い床が続いているだけ。
照明が無いのに明るく真っ白。
自分がどこを歩いているのかさえわからなくなるんです。

ただ、時折聞こえてくる音だけが、不思議と嫌な気持ちになるのを抑えてくれます。
その音は、メロディーというよりも、もっと心の奥に直接響くような音なんです。

クレアは立ち止まると、壁に手をかざしました。



[3] (無題)

投稿者: 鈴蘭 投稿日:2015年 6月30日(火)23時47分26秒 i153-145-25-3.s41.a008.ap.plala.or.jp  通報   返信・引用

目を覚ますと、いつもの暗い暗い鉄格子。
窓から眩しい光が差している。どうやらまた、朝がやってきたようです。

今日でわたしがこの世に生まれて、18年が経ったってお母様がおっしゃっていました。

具体的に、18年ってどれくらいの長さ?
ずっとこの屋敷で過ごしていて、年月の変わりようなど知る由もないのです。

『外』に出たいなんて思ったことは一度もありません。
外には怖い化物がいるとか、奇怪な生物ばかりだとか、全てお母様から聞いています。
・・・でもちょっと気になるけれど。

ふと、小さな窓を黒い何かが飛んで行きました。
あれはなんだろう?お母様の言っていた生物なのかな?怖いですね・・・。

ここは安全だと分かっていても、少し怯えてしまいます。
体が震えている中、私の体よりも長い、私の琥珀色の髪を毎日梳かしてくれる女の子がやって来ました。
この子はここでの唯一のお友達なのです。私よりも三歳年下だと聞きました。
とてもはにかんだ顔が可愛らしくて、私を屋敷の中の色々なところへいっしょに案内してくれます。

「おはようございます、お嬢様」
「おはようございます」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「はい!あなたといっしょにまた屋敷をお散歩する夢をみました!」
「それは光栄です。では今日もご一緒にお散歩いたしませんか?」
「はいっ!」

いつもの心落ち着く会話の中、髪を梳く音が石の床に響いていました。
今日は屋敷のどこへ連れて行ってくれるのでしょう・・・!



[2]

投稿者: くやたけ 投稿日:2015年 6月29日(月)02時55分30秒 g154.115-65-46.ppp.wakwak.ne.jp  通報   返信・引用

2015年6月29日 スタート
参加者:くやたけ、鈴蘭
ルール:
・投げっぱなしではなく、次へのバトンを渡すことを前提とした文章とする。
・短すぎず長すぎないように考慮する。
・登場人物の言葉づかいなど統一性はある程度考慮する。


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